ベッドやクローゼットに変形するロボット家具「オリ」
マンハッタンの高級アパートに採用された家具ロボット「オリ」。この家具は折り紙が展開するように変身し、狭い部屋が居間か寝室のどちらかになる。優れた空間の活用法にも思えるが、どこかちょっと奇妙でもある──そんなオリの実力は。

【動画で見る】ウォークインクローゼット、寝室、机、居間に変身するロボット家具「オリ」の試運転。

ニューヨークでの暮らしについて、広く知られている事実がひとつある。それは、家のなかに動き回るスペースがほとんどないということだ。マンハッタンのアパートは、アイオワ州都デモインにある家のウォークインクローゼットと同じくらいの大きさにすぎない。

そしてこの狭さは、ある有名な現象も生んでいる。財布がカラになるほど高い家賃と、よく言えばクリエイティヴな空間利用を生み出すことである。

最近、将来的に避けられないマイクロリヴィング(狭小住宅での生活)の極めて独特なヴィジョンを目にする機会があった。場所はマンハッタンのミッドタウンにある、高級ワンルームアパートの20階だ。

部屋に入ると、壁沿いに設置された巨大な家具が目に入る。前から見ると、まるで棚付きのエンターテインメントコンソール。横から見ると、なんの変哲もない本棚だ。ただし、小さなボタンがついている。高さ約2.75m、横幅約1.5m、奥行き2m強。居住空間の4分の1近くを占め、あとは居間か寝室どちらかに使用できるほどの空間しか残されていない。

このデモを主催したアパートメント「ユージーン」のアシスタントジェネラルマネージャー、キーガン・キャンプシュロアーは、巨大な木製家具を叩きながら、「これはオリ(Ori)という名前です」と説明した。そして巨大な木の塊の操作方法を筆者に教えてくれた。そう、オリには「操縦者」が必要なのだ。

オリという名前の由来は「折り紙」である。合板の家具に見えるが、じつはロボットだ。ボタンを押すか音声で命じると、まるで折り紙が展開するように、ベッドもしくはウォークインクローゼットに変身する。

キャンプシュロアーは、近くのテーブルに置かれた「Amazon Echo」のほうを向いて言う。「システムの操作方法はいくつかありますが、これが最もクールな方法です」

「Alexa。ベッドを見せてほしい、とオリに伝えてくれ」

まもなく機械音とともに、家具の下部が木製トランスフォーマーのようにゆっくりと展開し始めた。そして約20秒後、ホテルのように整えられたベッドが出現し、アパートの空きスペースの大部分を占拠した。キャンプシュロアーはボタンを押し、ベッドを元に戻しながら、「スタジオ(ワンルーム)形式のアパートが、ワンベッドルーム(1DK)の部屋として使えるのです」と説明した。

このアパートに来たのは、オリを「試運転」するためだ。マサチューセッツ州ケンブリッジを本拠とするオリ・システムズの創業者たちは過去2年間、オリの商品化と大量生産を実現するため、システムの微調整に取り組んできた。そしてようやく、ユージーン(と全米12の高級住宅)に設置され、試験段階に入ったのだ。

同社は年内にもオリを1万ドルで売り出す予定だ。ターゲットはおそらく不動産開発業者と、都会の狭苦しいアパートに暮らすテクノロジー好きな若い消費者たちである。

オリの創業者のひとりであるハジエル・ラリアは、「ミレニアル世代はスムーズな体験を求めています」と話す。使いやすいアプリケーションで、ベッドを自動的に“消す”ことができるオリは、まさにスムーズという概念を体現している。

筆者もターゲット層に属するひとりとして、ロボット家具との暮らしがどんなものかを、実際に確かめたいと思った。本棚と“会話”する未来は本当にやって来るのだろうか。かたちを変える収納家具は本当に、小さなアパートを広く感じさせてくれるのだろうか。

とにかく試してみることにして、自信に満ちた声で「Alexa。わたしにベッドを見せて」と呼び掛けた。しかし、何も起こらなかった。

「ベッドを見せてほしいとオリに伝えてくれ」とキャンプシュロアーが訂正した。

「Alexa。ベッドを見せてほしいとオリに伝えて」と繰り返すと、ベッドのモーターが動き出した。

ロボットも人間と同じで、とても気難しいルームメイトになることがあるようだ。




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