予算のために諦めたこと3つ vol.3【住宅ライターの家づくり】

 

土地の購入も含めた家づくりでは、家にかけられる予算には限りがあります。

提示されたプランそのものはとても気に入っていて、ウォークインクローゼット分のおよそ4坪を減らす以外は変更したくありません。
このプランを実現するためには、予算のことも考え、何かを諦めなくてはなりません。

家づくりのプロである建築家と工務店にすべてを委ねることを決めたとはいえ、家に関する希望は全くないわけではなく、むしろ、設計料がプラスになってもいいから建築家に依頼した理由は、家という空間をより快適にしたいという強い思いと希望がありました。

そのためにも、優先順位をちゃんとつけて、本当に必要なものを吟味して選ぼうと決めました。

その結果、様々な意見も聞きつつ、自分たちの家づくりに何が必要かを考えることが、この先の自分たちの人生を考えるいいきっかけにもなったのです。

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1.真っ先に諦めたのは、憧れの薪ストーブ

建築家が作ってくださった模型をよく見ると、階段の脇に薪ストーブが設置されています。

実は、私が真っ先に希望して真っ先に諦めたのは、薪ストーブでした。

冬の夜、揺らめく炎を眺めながら過ごす時間。ストーブの上にストウブのピコ・ココットをおけば煮込み料理もできたりして。憧れますよね〜。
憧れの薪ストーブ。設置にかかる費用を聞いて、現実に引き戻されました。

chikaphotograph / PIXTA(ピクスタ)

薪ストーブ本体+煙突、炉壁や炉台の工事などを含めかかる費用は総額およそ100万円、と工務店が教えてくれました。

家自体は薪ストーブの設置を前提にして設計されていましたが、100万円かぁ(遠い目)。

冬の寒い日、炎のゆらめきを眺めながら、ストウブのピコ・ココットや、OIGEN(及源)のクックトップで煮込み料理したいなぁと思っていたけれど、100万円かぁ(遠い目)。

薪ストーブは、本当に必要なのか?

私たちは今から建てる家での暮らしは、おそらく死ぬまで続きます。
自分たちが一体いつまで生きているのか皆目見当がつかないけれど、少なくともあと20年、60歳を超えるくらいまでは生きていたい。

そのとき私たちは、果たして薪を割っているだろうかと自問自答したわけです。

答えは、否。

そして、薪ストーブは後から設置することができます。

やっぱり欲しい、と思ったらそのときから100万円貯めて設置すればいい、という結論に達しました。

2.壁と床。どっちを優先する?

次に諦めたのは、塗り壁。壁と天秤にかけたのが、床でした。

床は無垢の杉材を希望。同じ杉でも、建築家が手がけたほかの家を見て一目惚れした幅広の杉板にするか、地元産の杉材にするかで、差額は数十万円。

その差額と、塗り壁とクロスの差額が同じくらいだったのです。

漆喰、珪藻土、ホタテパウダー。たくさんのお宅を取材してきて、さまざまな素材の塗り壁を見てきました。

素朴ながら温もりがあって、部屋の中の空気が清々しいのを体感して知っていました。

塗り壁、素敵だな〜と思いましたが、リビングの壁と天井の面積が広く、そこだけ施工したとしても結構な金額になります。

クロスは、張り替えのタイミングで塗り壁に変えることもできます。

でも、床は、よほどのことがない限り、張り替えることはないでしょう。

左官の仕事を間近で見たいという気持ちもありましたが、
建築家が「塗り壁のように見えるクロス、今はたくさんあります。オススメのものがあるのでそれにしましょう」
と提案してくれたおかげで、諦めがつきました。

地域の気候をよく知る工務店からも、この地域の気候を考えてクロスにしたほうがいいというアドバイスがありました。

これまでたくさんの家を手がけてきた建築家や工務店がそう言うなら間違いないだろうと、納得できました。

いがぐり / PIXTA(ピクスタ)

これは後日談なのですが、新居に遊びにきてくれた旧友と家談義をしたときのこと。彼女の家の1階部分はすべて、漆喰の壁なのだそう。

この地域は三方を山に囲まれた盆地で、雨と霧が多い土地柄。梅雨時の湿度の高さには辟易するほどです。

調湿作用があると聞いて選んだけれど、梅雨時はずっと湿度が高いから吸った湿気を吐き出すタイミングがないように感じているとのこと。

「私は今になってクロスにすればよかったと思っているから、逆に羨ましい」と話してくれました。郷に入っては郷に従え、ですね。

3.キッチンを造作するか、システムキッチンにするか

そしてもう1つ。キッチンを造作することも諦めました。

オールステンレスの無骨なキッチンに憧れていた私。

当初の予定では、業務用のキッチンをベースにキッチンを造作することを考えました。

そこで、地元にある厨房機器の専門商社で働く友人にカタログをもらい、真剣に検討することにしたのです。

チンク / PIXTA(ピクスタ)

その友人に言われたのが「音が結構うるさいよ」。

蛇口から流れる水がシンクを叩く音の防音などは、全く考慮されていないとのこと。

そういう細かなところに、住宅用と業務用の違いがあることを知りました。

そこで、私がキッチン(特にシンク)に求めることをリストアップしました。

シンクが大きいこと排水カゴが浅型でステンレスであることガスで料理すること魚を焼いたあとの匂いが残らないこと

シンクの大きさにこだわったのは、東京に暮らしていたときに買って気に入って使っていた野田琺瑯の丸型洗い桶が借家のシンクには入らず、10年以上に渡りスイカを冷やす以外の用途に使えなかったからです。

また、毎年味噌を仕込むのに使う、同じく野田琺瑯のラウンドストッカー(21cm)を楽々洗えるくらいの大きさがほしかったのです。

chikaphotograph / PIXTA(ピクスタ)

工務店が勧めてくれたのは、クリナップのシステムキッチンでした。

「悪くないと思うんだけどな〜」と言われ、早速ショールームへ。

造作にするとしても、ヒントになることがあるはずだと考えたからです。

引き出しを開けたり閉めたり。ワークトップに手を置いて高さを確認してみたり、水を流してみたり。
水道から流れ出す水の音を小さくする工夫もありました。

いろいろ試しながらショールームのスタッフのお話を聞いていくうちに、システムキッチンもいいじゃない、と素直に思えました。

よく考えられた機能がふんだんに盛り込まれているのに、この価格。デザインもそんなに悪くない。

私には、もう造作にこだわる理由が見つかりませんでした。

こうして振り返ってみると、諦めなくちゃいけない場面でこそ、建築家や工務店の意見がすごく役立ちました。

その上で、取捨選択していくのは自分たち。これからの自分たちに何が必要かを考えることは、この先の自分たちの人生を考えるいいきっかけになりました。

(つづく)

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