2017年1-8月「太陽光関連事業者」の倒産状況

 

 2017年1-8月の「太陽光関連事業者」の倒産は累計59件(前年同期比63.9%増)に達した。
 このままのペースで推移すると2000年の調査開始以降、年間最多だった2016年の65件を上回り、2017年の「太陽光関連事業者」倒産は過去最多を記録する可能性がある。
 2012年7月に再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイマス)の固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、これを契機に業態転換や法人設立が相次ぎ、多くの事業者が太陽光関連事業に参入した。だが、買い取り価格の段階的な引き下げに伴い市場拡大のペースが鈍化し、事業者の乱立などで事業が立ち行かなくなる業者が続出している。


  • ソーラーシステム装置の製造、卸売、小売を手がける企業、同システム設置工事、コンサルティング、太陽光発電による売買電事業等を展開する企業(主業・従業問わず)を「太陽光関連事業者」と定義し、集計した。

倒産件数 過去最多ペースで推移

 調査を開始した2000年以降、倒産件数の年間最多は2016年の65件だった。だが、2016年1-8月の累計は36件だったが、2017年1-8月ですでに1.6倍の59件に達している。
 2017年1-8月の負債総額は191億7,400万円(前年同期比7.1%増)。年間負債の最多は2016年(1-12月)の242億4,100万円だったが、2017年は負債1億円未満が30件(前年同期17件)と小口倒産を中心にしており、件数の増加ほど負債は増えていない。ただ、このままのペースで推移すると負債額も過去最多となる可能性を残している。

負債額別 1千万円以上5千万円未満が3割増

 負債額別では、1億円以上5億円未満が最多で23件(構成比38.9%)だった。次いで、1千万円以上5千万円未満、5千万円以上1億円未満のそれぞれ15件(同25.4%)。
 2016年1-8月は、負債1億円未満が17件(同47.2%)だったのに対して、2017年1-8月は30件(同50.8%)で、構成比が3.6ポイント上昇した。設備への先行投資や在庫負担、積極的な人員補充などで、これまでの「太陽光関連事業者」の倒産は負債が膨らむ傾向にあった。だが、ここにきて小規模に展開していたパネル設置工事や電気工事業者の倒産が目立ち、負債は小口化している。

原因別 「事業上の失敗」が高水準

 原因別では、最多は 2016年1-8月は19件だった「販売不振」が30件(構成比50.8%)と急増、全体の半数を占めた。次いで「事業上の失敗」7件(同11.8%)、「運転資金の欠乏」5件(同8.4%)と続く。2016年1-8月はゼロだった「売掛金回収難」は、4件(同6.7%)発生した。
 「既往のシワ寄せ」、「販売不振」、「売掛金回収難」を合算した「不況型倒産」は39件(同66.1%)に達し、前年同期の21件(同58.3%)より大幅に増加した。太陽光関連市場が厳しい経営環境に突入したことを示している。

2017年1-8月「太陽光関連事業者」の主な倒産事例

 ○PVG Solutions(株)(TSR企業コード:352251875、神奈川県、負債約22億円)
 2007年に太陽電池セルなど太陽光発電製品の製造・販売を目的に設立。当初はコンサルティングや製品分析などを手掛けていた。2011年にベンチャーキャピタルなどからの出資金や金融機関からの借入を基に、約20億円を投じて愛媛県西条市に工場を建設。太陽電池セルなど太陽電池関連製品の製造に本格参入した。だが、安価な海外製品の流入や固定価格買い取り制度(FIT)見直しによる買取価格の下落、工場建設による借入負担などで資金繰りが逼迫し、2017年2月に横浜地裁から破産開始決定を受けた。

 〇(株)ZEN POWER(TSR企業コード:872097005、福岡県、負債約52億円)
 2005年に設立され、福岡県久山町に工場を開設。太陽光発電モジュールの組立、販売を手掛けていた。国内外に販路を築き、2014年12月期の売上高は約74億円を計上していた。しかし、大口取引先だったドイツ企業に不良債権が発生し、急激に資金繰りが悪化。欧州でのモジュール価格の下落、国内での固定買い取り価格の引き下げによる市況悪化から、受注が大幅に落ち込み、2017年4月に福岡地裁から破産開始決定を受けた。

 〇(株)りょうしん電気(TSR企業コード:576244562、大阪府、負債4億7,700万円)
 2009年に設立。当初はオール電化製品及び住宅設備機器の販売施工を主体にしていたが、その後、太陽光発電関連事業に参入。太陽光発電システムの販売施工や大阪府内の電器店などを対象に勉強会を通じたコンサルタント業務、アフターフォローとしてメンテナンス事業部を立ち上げていた。さらに、和歌山県でメガソーラー事業を開始し、2015年9月期の売上高は44億5,932万円を計上していた。
 ところが、太陽光発電関連ブームの収束で、2016年9月期の売上高は29億5,660万円にまで落ち込み、関連会社への出資金や貸付金の処理などで赤字を計上。自社保有のメガソーラー発電所や関連会社の売却を進めたが奏効せず、2017年5月に大阪地裁に破産を申請した。

 ○(株)ISHIO(TSR企業コード:612117200、和歌山県、負債約6,000万円)
 2013年に設立され、住宅の新築工事やリフォーム、太陽光発電装置の設置工事などを手掛けていた。設立が浅く財務内容や資産背景が脆弱だったことに加え、リフォーム工事の案件で回収不能が生じ、資金繰りが逼迫。2017年6月に和歌山地裁から破産開始決定を受けた。


 2017年1-8月の「太陽光関連事業者」倒産は59件に達し、年間で過去最多だった2016年を上回るペースで推移している。
 2011年3月の東日本大震災を受け、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の固定価格買い取り制度(FIT)が成立。政府も自給エネルギーの確保と低炭素社会の実現に向け、化石燃料や原子力に依存し過ぎないエネルギーミックスを推し進めてきた。買い取り価格の「太陽光優遇」などから、メガソーラーの運営やソーラーシステム装置の販売、設置工事など多様な形態で参入が相次いだ。
 だが、段階的な買い取り価格引き下げや同業者の増加で業界環境は一変し、太陽光関連事業者の倒産が急増している。
 2017年1-8月の「太陽光関連事業者」倒産は、負債1億円未満が全体の50.8%を占め、前年同期より3.6ポイント上昇した。また、前年同期に発生はなかった「売掛金回収難」による倒産が4件発生した。売掛金回収難による倒産は、太陽光案件の代金未回収に起因したものに限らないが、資産規模が小さい太陽光関連事業者の脆弱な資金状況を反映している。
 2017年4月に施行された改正再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)で、2,000kW以上の太陽光発電に入札制度が新設された。これは賦課金の国民負担の低減を目的の一つにしており、買い取り価格の値下がりは避けられない。
 価格下落は発電所の新設コストの引き下げ圧力となり、関連事業者の受注単価のダウンに繋がることも懸念される。当面、発電設備の販売や施工業者の経営環境は厳しい状況が続くとみられるだけに、「太陽光関連事業者」倒産は今後も高水準推移をたどる可能性が高い。